不動産投資の落とし穴？短期賃貸借保護制度とは

不動産投資の落とし穴？短期賃貸借保護制度とは

投資初心者

『短期賃貸借保護制度』って、今はもうないんですよね？それなら、どんな制度だったのか、簡単に教えてください。

投資研究者

そうだね。今はもう廃止されている制度だ。簡単に言うと、抵当権が設定された不動産でも、短期の賃貸借契約なら、その賃借権が優先される制度のことだったんだ。

投資初心者

つまり、もし抵当権が実行されても、短期賃貸借契約の期間中は住み続けられたということですか？

投資研究者

その通り！ただし、あくまで短期の賃貸借契約に限られていたんだよ。具体的には、土地は5年以内、建物は3年以内の賃貸借契約が保護の対象だったんだ。

短期賃貸借保護制度とは。

– 不動産投資用語：短期賃貸借保護制度とは？

-過去に存在した制度-ですが、簡単に言うと、-抵当権付きの不動産でも、短い期間の賃貸契約なら、抵当権より強い権利として認められていた-制度です。（ただし、-平成16年3月31日以降は原則廃止-されています。）

-# 制度の目的

通常、抵当権が設定された後に賃貸契約を結んでも、抵当権の方が強い力を持つため、競売などで不動産を手放すことになったら、賃借人は出て行かなければなりません。

しかし、これでは抵当権が設定された不動産は誰も借りたがらず、不便になってしまうため、-短期間の賃貸契約に限っては、抵当権よりも強い権利として保護-していました。

具体的には、土地は5年以内、建物は3年以内の賃貸契約が「短期賃貸借」とされ、この制度の対象となっていました。

-# 具体的な適用例

例えば、抵当権付きのマンションで、競売の手続きが始まった時に、あと11ヶ月で賃貸契約の更新時期を迎える場合、この賃貸契約は「短期賃貸借」とみなされ、賃借人はそのまま住み続けることができました。ただし、更新はできず、更新時期が来たら退去しなければなりませんでした。

-# 制度の廃止

賃借人を守る役割も果たしていたこの制度ですが、平成16年3月31日に原則廃止となりました。

短期賃貸借保護制度とは？

近年、Airbnbなどの民泊サービスの普及に伴い、注目を集めているのが「短期賃貸借保護制度」です。投資物件の運用方法として、従来型の賃貸よりも高い収益が見込める短期賃貸は魅力的ですが、この制度の存在を知らずにトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

この制度は、簡単に言えば「一定の要件を満たした短期賃貸借契約について、貸主は借家人からの契約更新要求を拒否できない」というものです。つまり、たとえ当初は短期の契約で貸していたとしても、借家人が更新を希望すれば、貸主は正当な理由なくそれを断ることができない場合があるのです。

抵当権との関係性

不動産投資において、収益物件を購入する際に金融機関から融資を受けることは一般的です。その際、物件に抵当権が設定されることとなります。これは、融資の返済が滞った場合に備え、金融機関がその物件を売却して貸付金の回収を図る権利を担保するものです。

一方、短期賃貸借保護制度は、賃借人が正当な理由なく明け渡しを拒否した場合でも、一定の要件を満たせば、賃貸借契約を解除できるという制度です。しかし、ここに抵当権が絡んでくると、事態は複雑になります。

例えば、あなたが収益物件を購入し、抵当権を設定した上で賃貸に出していたとします。賃借人が家賃を滞納し、短期賃貸借保護制度に基づいて契約解除を求めたとしても、抵当権が設定されている場合は、金融機関の同意なしに物件を明け渡させることができません。これは、金融機関にとって、物件が明け渡されることで担保価値が毀損する可能性があるためです。

つまり、短期賃貸借保護制度は、あくまで賃借人と賃貸人の間の契約関係にのみ適用される制度であり、抵当権などの第三者の権利には影響を与えないということです。

そのため、不動産投資を行う際には、抵当権と短期賃貸借保護制度の関係性を正しく理解し、リスクを把握しておくことが重要です。

制度適用の具体例

例えば、あなたが所有するマンションの一室を、旅行者に短期で貸し出す民泊事業を始めたとしましょう。収益も順調に伸び、経営は順風満帆に見えます。しかし、ある日、賃借人が部屋を明け渡さず、家賃の支払いを拒否し始めたとします。このような場合、短期賃貸借保護制度が適用されると、賃借人を簡単に立ち退かせることができなくなる可能性があります。なぜなら、この制度は、短期の賃貸借契約であっても、賃借人の居住権を一定程度保護することを目的としているからです。結果として、予定していた期間を大幅に超えて部屋が使えなくなり、想定外の損失を被ってしまうケースも考えられます。

短期賃貸借保護制度のメリット・デメリット

– 短期賃貸借保護制度のメリット・デメリット

短期賃貸借保護制度は、賃貸人・賃借人のどちらにもメリット・デメリットが存在します。

-# メリット

賃貸人にとってのメリットは、家賃滞納などのトラブル時に、通常の賃貸借契約よりも速やかに明け渡し請求ができる点です。
通常であれば、賃貸借契約は借主側に有利に働くことが多く、強制退去まで長期間を要することも珍しくありません。
しかし、短期賃貸借保護制度を利用することで、比較的スムーズに物件の明け渡しを求めることができます。

一方、賃借人にとってのメリットは、敷金・礼金などの初期費用や更新料などの負担を軽減できる点です。
初期費用が抑えられる点は、短期的な滞在を希望する賃借人にとって大きな魅力と言えるでしょう。

-# デメリット

賃貸人にとってのデメリットは、賃借人が契約期間満了前に退去した場合でも、違約金を請求できない点です。
短期賃貸借保護制度では、賃借人はいつでも解約の申し入れをすることが可能です。
そのため、空室期間が長引くリスクも考慮する必要があります。

賃借人にとってのデメリットは、契約期間満了時に更新を拒否される可能性がある点です。
更新ができない場合、引っ越しが必要になるため注意が必要です。

このように、短期賃貸借保護制度はメリットだけでなくデメリットも存在します。
賃貸人・賃借人双方にとって、メリット・デメリットを理解した上で利用することが重要です。