先生、AUPって言葉が出てきたのですが、会計監査とは違うんですか?
良い質問ですね!AUPは会計監査とは違います。会計監査は、財務情報の適正性を判断するために、監査人が独立的な立場から十分な証拠を入手して意見表明を行うものですが、AUPは、予め決めた手続きに従って事実を確認することに重点を置いています。
なるほど。では、AUPは具体的にどんなことを確認するんですか?
総合型企業年金基金の場合だと、「業務経理」「掛金」「運用資産」「給付」「残高確認」といった項目について確認を行います。AUPの実施によって、会計の透明性向上や誤りの発見、不正の防止といった効果が期待されています。
AUPとは。
「AUP」とは、公認会計士が企業などから依頼を受けて行う業務の一つです。公認会計士と依頼者が事前に確認事項やその方法を合意した上で、公認会計士は合意に基づいた事実確認を行い、その結果のみを報告します。これは、財務諸表全体の適正性を評価し、意見表明を行う「会計監査」とは異なります。
企業年金基金では、健全な事業運営を確保するため、監事による監査が義務付けられています。特に、積立金(純資産)が常時20億円以上の規模を持つ総合型基金では、2019年度決算から、「会計監査」または「AUP」のいずれかの受検が義務付けられました。AUPの結果は、監査の補足資料として活用されます。
総合型基金のAUPでは、基金と公認会計士が実施手続きを協議・決定した上で、「業務経理」「掛金」「運用資産」「給付」「残高確認」といった具体的な項目について確認が行われます。AUPの実施により、事業主や加入者への安心感の提供、会計の透明性向上、誤りや不正の防止、内部統制の強化といった効果が期待されています。
AUPとは何か?会計監査との違い
企業年金基金の運営において、「AUP」という言葉を見聞きすることがあるかもしれません。AUPとは、Actuarial Understanding of Pension Plans の略で、日本語では「年金アクチュアリー業務」と呼ばれます。これは、企業年金基金の財務状況や将来予測について、専門家であるアクチュアリーが精査し、その妥当性を評価する業務を指します。
では、AUPは一般的な会計監査とはどう違うのでしょうか? 会計監査は、過去の財務諸表の正確性を検証することに主眼を置いています。一方、AUPは、将来の年金財務の健全性を評価することに重点が置かれています。具体的には、アクチュアリーは年金制度の給付水準や加入者の将来予測などを用いて、将来の年金資産の積立状況や給付費用の支払能力を分析します。
AUPと会計監査は、どちらも企業年金基金の健全な運営を支える上で重要な役割を担っています。それぞれ異なる視点から評価を行うことで、より多角的にリスクを把握し、適切な対応策を講じることが可能となります。
企業年金基金におけるAUP導入の背景
近年、スマートフォンやタブレットなど、業務で利用できる情報端末の多様化が進んでいます。特に私物のスマートフォンを業務に使用することを許可するBYOD(Bring Your Own Device)は、企業にとって業務効率化やコスト削減の観点から注目されています。
一方で、業務で使用する情報端末の増加は、情報漏えいや不正アクセスといったセキュリティリスクを高めることにも繋がります。そのため、企業年金基金においても、これらのリスクを適切に管理し、安全な情報資産の利用を促進するために、AUP(Acceptable Use Policy)の導入が求められています。
総合型基金におけるAUPの対象となるケース
総合型基金では、加入企業の従業員とその年金資産を一体として運用するため、AUPの対象となる範囲が企業型基金と比べて広くなります。具体的には、加入企業の経営状況の悪化や企業年金制度の見直しなど、従業員個人ではなく、企業側の事情によって年金資産の給付水準に影響が生じる可能性がある場合も、AUPの対象となります。
例えば、加入企業の倒産や事業縮小によって、企業が予定していた掛金の拠出が難しくなった場合や、企業年金制度の変更によって、将来受け取れる年金額が減額される可能性がある場合などが挙げられます。このようなケースでは、総合型基金はAUPに基づいて、加入者に対して事前に状況を説明し、理解と協力を求める必要があります。
AUPで確認される具体的な事項
AUPでは、年金基金の運用に関わる様々な事項が確認されます。具体的には、運用目標や運用方針、リスク許容度、資産配分の考え方、運用体制、パフォーマンス測定方法、責任と義務などが規定されます。
例えば、運用目標では、何%のリターンを目指すのか、どの程度の期間で達成しようとするのかといった具体的な目標が設定されます。また、リスク許容度では、どれだけの損失リスクを許容できるのか、その範囲などが明確化されます。
さらに、運用体制については、誰が、どのような責任と権限を持って運用を行うのか、外部委託する場合はどのように選定し、モニタリングするのかといったことが具体的に定められます。これらの事項を明確化することで、年金基金の運用がより適切かつ効率的に行われることが期待されます。
AUP導入によるメリットと期待される効果
AUP導入によるメリットは多岐に渡ります。まず、運用担当者の業務負担軽減が挙げられます。AUPに基づき、運用プロセスを標準化することで、属人的な業務を減らし、効率化を実現できます。また、ガバナンス強化も期待できます。AUP策定を通じて、運用目標やリスク許容度、責任体制などが明確化され、組織全体で統一された運用体制を構築できます。さらに、長期的な運用パフォーマンスの向上にも繋がります。明確なルールに基づいた運用を行うことで、感情や短期的な市場の変動に左右されない、安定した運用成績を目指せます。このように、AUP導入は、企業年金基金にとって多くの利点をもたらすと言えるでしょう。