空間のアクセント、掛け障子の魅力

空間のアクセント、掛け障子の魅力

リフォームについて知りたい

先生、「掛け障子」ってどんなものですか？リフォームの資料で見かけたんですけど、普通の障子とは違うんですか？

リフォーム専門家

いいところに気がつきましたね。「掛け障子」は、茶室とか和室で見かける小さな障子のことです。普通の障子より低い位置にあって、窓というよりは飾りとして使われることが多いんですよ。

リフォームについて知りたい

へえー、そうなんですね。でも、なんでわざわざ低い位置にあるんですか？

リフォーム専門家

昔は、低い位置にある窓の下地に釘を打って、そこに小さな障子を引っ掛けていたからなんだそうです。それで「掛け障子」って呼ばれるようになったんですって。面白いでしょう？

掛け障子とは

– 掛け障子とは掛け障子とは、主に茶室などで見られる、床からあまり高くない位置に設置された小型の障子のことを指します。
その名の通り、まるで壁に掛けられた絵画のような美しい佇まいから、「掛け障子」と名付けられました。

私たちが普段目にする障子とは異なり、部屋を仕切ったり、日差しを調整したりする実用的な役割は持ちません。
掛け障子は、茶室の空間に風情や奥行きを与えるための装飾的な要素として使われています。

たとえば、床の間の脇や通路の突き当たりなどに設置することで、空間にメリハリが生まれ、奥行き感を演出することができます。
また、掛け障子に描かれた絵や模様、あるいは、障子から透けて見える風景が、見る人の心を和ませ、茶室の静寂な雰囲気を一層引き立てます。

掛け障子は、日本の伝統的な美意識と、茶室という空間の持つ独特の美意識が融合した、繊細で美しい調度品と言えるでしょう。

掛け障子の由来

– 掛け障子の由来日本の伝統的な建築様式において、光と風を柔らかく取り込み、空間を優雅に仕切る建具として愛されてきた掛け障子。その名前の由来は、その独特な設置方法に由来しています。かつて、日本家屋では、窓にはめ殺しの板戸が一般的でした。しかし、光を取り入れたり、風を通したりするために、板戸の一部を開閉できるようにする必要がありました。そこで、下地窓の部分に折れた釘を打ち付け、そこに小さな障子を掛けて使うという方法が考案されました。この、「掛ける」という設置方法から、「掛け障子」と呼ばれるようになったと言われています。初期の掛け障子は、簡素な構造のものでしたが、時代を経るにつれて、装飾性や機能性が増し、現在のような洗練された形へと進化してきました。現代においても、掛け障子は、その繊細な美しさで、日本家屋に独特の風情と趣を与え、高い評価を受けています。また、光を柔らかく拡散させる効果や、通気性を確保しながらも目隠しになるという機能性も兼ね備えており、日本の気候風土にも適した建具として、現代の住宅にも多く取り入れられています。

茶室における掛け障子

茶室といえば、静寂の中に美を見出す、簡素で奥深い空間です。その空間を彩る要素はごくわずかであり、装飾過多はむしろ禁物です。しかし、何もないわけではありません。その数少ない要素の一つが、掛け障子です。

掛け障子は、襖とは異なり、壁ではなく天井から吊り下げる形で設置されます。そのため、壁全体を覆うのではなく、一部分だけを仕切る役割を果たします。茶室においては、茶道具を飾る床の間と客座の間に掛けられることが多いです。これは、床の間という特別な空間と客席とを緩やかに区切りつつ、視線を完全に遮断しないことで、奥行きと開放感を同時に演出する効果を狙っています。

さらに、掛け障子に使われる和紙や木材は、自然の素材そのものの風合いを活かしています。淡い光を通す和紙は、茶室の静寂な空間に柔らかな陰影を生み出し、時間を忘れさせるような独特の雰囲気を醸し出します。また、季節の花鳥風月を描いた絵や、禅の教えを込めた書などを施すこともあり、茶室に華やかさを添えつつも、侘び寂びの世界観を損なわない、奥ゆかしい美しさを表現しています。

掛け障子の多様性

掛け障子というと、茶室に用いられる特別な建具というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし実際には、一般の和室にも違和感なく溶け込む、非常に汎用性の高い建具と言えるでしょう。

例えば、和室全体を落ち着いた雰囲気にしたい場合、既存の襖や障子の代わりに掛け障子を取り入れると、空間が引き締まり、洗練された印象になります。また、洋室と和室の間に掛け障子を設置することで、緩やかな仕切りとして機能し、空間に奥行きを生み出すことも可能です。

掛け障子の魅力は、そのシンプルな構造と美しい佇まいにあります。木製の格子で構成されたすっきりとしたデザインは、和室に清涼感と開放感をもたらします。さらに、光を柔らかく通すため、室内に穏やかな雰囲気を作り出す効果も期待できます。

掛け障子は、時代を超えて愛される日本の伝統美を感じさせてくれる建具と言えるでしょう。

現代の住宅への導入

近年、住宅のデザインや機能性に対する意識が高まる中で、伝統的な和の要素を取り入れた現代的な住宅が注目を集めています。中でも、掛け障子は、その洗練された美しさや機能性から、現代の住宅にも多く取り入れられるようになっています。

掛け障子は、和紙と木枠というシンプルな構造でありながら、空間に独特の雰囲気を醸し出すことができます。柔らかな光を室内に拡散させることで、明るく開放的な空間になるだけでなく、温かみのある落ち着いた雰囲気も演出することができます。そのため、近年人気が高まっている和モダンなデザインや、シンプルさを追求したミニマルなインテリアとの相性も抜群です。

また、掛け障子は、間仕切りとしての機能も優れており、空間をゆるやかに仕切ることで、開放感を保ちつつもプライバシーを確保することができます。さらに、断熱性や吸音性にも優れているため、快適な生活空間の実現にも役立ちます。

このように、掛け障子は、伝統的な美しさと現代的な機能性を兼ね備えた建具として、現代の住宅においてもその魅力を発揮しています。住宅のデザインやライフスタイルに合わせて、様々な方法で取り入れることができるため、今後ますます人気が高まっていくことが予想されます。