和の趣を支える竪子：その役割と魅力

和の趣を支える竪子：その役割と魅力

リフォームについて知りたい

先生、「竪子」ってリフォームの資料に書いてあったんですけど、どういう意味ですか？

リフォーム専門家

「竪子」はね、格子戸とか障子戸であるでしょ？ あれに、縦に使われている細い木のことを言うんだよ。

リフォームについて知りたい

ああ、あの縦の細い木のことですか！なんとなくイメージわきました！

リフォーム専門家

そう！リフォームの時は、その「竪子」を新しくしたり、修理したりする必要がある場合があるから、覚えておくと便利だよ！

格子戸や障子戸を構成する重要な要素

日本の伝統的な家屋で見られる格子戸や障子戸。柔らかな光と風を通しながらも、空間をゆるやかに仕切るその姿は、日本の建築様式ならではの美しさです。この格子戸や障子戸の美しさを陰ながら支えているのが「竪子（たてご）」と呼ばれる細長い木材です。
竪子は、格子戸や障子戸の縦方向の骨組みとなる部材で、人の背骨のように、建具全体をしっかりと支え、強度を保つという重要な役割を担っています。もしも竪子がなければ、格子戸や障子戸は自らの重みに耐えきれず、美しい格子模様や、障子紙を貼った時のすっきりとした姿を保つことができません。
竪子の材質には、主に杉や桧などの針葉樹が使われます。これらの木材は、軽く、加工がしやすく、そして丈夫であるという特徴を持っているため、建具の材料として最適です。また、木目が美しく、温かみのある風合いを持つことも、格子戸や障子戸の素材として選ばれる理由の一つです。
近年では、アルミや樹脂など、新しい素材が使われることもありますが、天然木の持つ温かみや風合いは、今もなお多くの人々に愛され続けています。格子戸や障子戸を通して、日本の伝統的な建築技術と、自然素材の素晴らしさを感じていただければ幸いです。

素材と寸法：竪子のバリエーション

格子戸や障子戸のデザインを左右する要素の一つに、縦格子の「竪子（たてご）」があります。 竪子の素材や寸法によって、建具全体の印象は大きく変わるため、部屋の雰囲気に合ったものを選ぶことが大切です。

竪子の素材として代表的なものは、杉や檜などの木材です。木材の種類によって、色味や木目が異なり、それぞれに独特の風合いがあります。例えば、杉は明るい色合いとすっきりとした木目が特徴で、空間を広く見せる効果があります。そのため、開放的で明るい雰囲気のリビングや、落ち着いた和室によく合います。一方、檜は赤みを帯びた色合いで、高級感と重厚感を漂わせるため、格式高い書院造の部屋や、重厚な雰囲気の和室などに用いられます。

また、竪子の寸法も、建具の印象を左右する要素の一つです。太い竪子は、存在感があり、力強い印象を与えます。一方、細い竪子は、繊細で優美な雰囲気を醸し出し、部屋に軽やかさを添えてくれます。 竪子の寸法を選ぶ際には、建具全体の大きさやデザインとのバランスを考えることが重要です。

このように、竪子の素材と寸法は、建具のデザインを決定づけるだけでなく、部屋全体の雰囲気にも影響を与える重要な要素です。そのため、それぞれの素材や寸法の特徴を理解した上で、部屋の用途や雰囲気に合ったものを選ぶことが大切です。

伝統的な職人技：竪子の加工と組み立て

– 伝統的な職人技竪子の加工と組み立て格子戸や障子戸に使われる竪子は、木材をただ垂直に並べたものではありません。そこには、日本の気候風土の中で育まれた、伝統的な職人技が息づいています。まず、使用する木材は、長い年月をかけて自然乾燥させたものを使用します。これは、木材の反りや割れを防ぎ、丈夫で長持ちする建具を作るための重要な工程です。十分に乾燥した木材は、設計図に基づいて、1本1本丁寧に寸法通りに切り出されます。その後、カンナなどの道具を用いて、表面を滑らかに仕上げていきます。この時、職人は木材の繊維の向きを見極めながら、刃を入れる角度や力を微妙に調整し、美しい仕上がりを実現するのです。そして、いよいよ格子や障子戸のデザインに合わせて、竪子と横木を組み合わせる作業に入ります。釘などの金具は一切使用せず、伝統的な仕口と呼ばれる技術で、木材同士をしっかりと組み合わせていきます。仕口は、木材の強度を最大限に活かすための工夫であり、その精巧な技術は、まさに芸術と呼ぶにふさわしいものです。このように、熟練した職人の手によって、美しく丈夫な格子戸や障子戸が作り上げられるのです。それは、日本の伝統的な美意識と、高度な技術が融合した、世界に誇るべき文化遺産と言えるでしょう。

現代建築における竪子の進化

近年、日本の伝統的な建築様式を取り入れた現代的な住宅が増加しています。それと同時に、住宅を支える重要な要素の一つである竪子も、新たな進化を遂げています。

従来、竪子は木材を用いて作られることが一般的でした。しかし、現代建築では、アルミや樹脂といった現代的な素材と木材を組み合わせることで、デザインの幅が大きく広がっています。例えば、木材の温かみを残しつつ、アルミのシャープなラインを組み合わせることで、モダンな印象の住宅にも馴染む竪子が生まれています。また、ガラスと組み合わせることで、採光性を確保しながらも、外部からの視線を遮るなど、機能性とデザイン性を両立させた竪子も登場しています。

さらに、断熱性や遮音性を高めた高性能な竪子の開発も進んでいます。これは、現代の住宅における省エネルギー化や快適な居住空間の実現といったニーズに対応するものです。

このように、伝統を守りながら、時代の変化に合わせて進化を続ける竪子は、これからも日本の住宅建築において重要な役割を担っていくことでしょう。

竪子を通して感じる日本の美意識

私たちが普段何気なく目にしている住宅の建具の一つに、竪子があります。一見すると地味で目立たない存在ですが、この竪子には、日本の伝統的な美意識が凝縮されていると言えるでしょう。

竪子の素材として多く用いられるのは、木や竹といった自然素材です。自然の恵みをそのまま活かし、木目が織りなす模様や、竹の持つしなやかな強さを生かしたシンプルな造形は、まさに用の美を体現しています。そして、そのシンプルな美しさの裏側には、細部までこだわり抜いた職人の繊細な技が光ります。一本一本丁寧に削り出された木材、緻密に組み合わされた部材の一つ一つからは、作り手の素材に対する深い愛情と、技術の高さが伺えます。

さらに、竪子は年月を経るごとに、独特の味わいを増していくことも魅力の一つです。使い込むほどに表面は滑らかさを増し、色合いは深みを増していきます。それは、まるで人が年を重ねるごとに円熟味を増していくように、時間の流れとともに変化していく美しさと言えるでしょう。

現代の住宅では、アルミサッシなど機能性を重視した建具が多く用いられますが、格子戸や障子戸から覗く竪子の姿は、慌ただしい日常の中で、私たちに日本の伝統的な美意識と、心のゆとりを与えてくれるのではないでしょうか。