- 掛け矢とは掛け矢は、日本の伝統的な建築様式である木造建築において、欠かせない道具の一つです。その名の通り、木材に打ち込む際に「掛矢」と呼ばれる職人が持つ部分が「矢」のように速く振られることから、その名が付けられたと言われています。主に、梁や柱といった建物の骨組みとなる重要な構造材を組み立てる際に使用されます。これらの構造材には、「ホゾ」と呼ばれる凸凹が設けられており、掛け矢を用いて叩き込むことで、釘や金具をほとんど使用せずに接合する「木組み」という技法が用いられます。掛け矢は、その重量を活かして大きな力を生み出すことができます。しかし、ただ力任せに叩き込むだけでは、木材を傷つけてしまったり、正確な位置にホゾを打ち込むことができません。熟練の職人は、長年の経験と勘によって、木材の硬さや状態を見極めながら、適切な力加減と角度で掛け矢を操ります。近年では、住宅建築の現場においても、電動工具の普及が進み、作業の効率化が進んでいます。しかしながら、掛け矢は、その力強さだけでなく、繊細な力加減を必要とすることから、今もなお多くの職人たちに愛用されています。伝統的な建築技術の継承と、高品質な木造建築を支える上で、掛け矢は重要な役割を担っていると言えるでしょう。

家づくりに欠かせない木材。床や柱、梁など、様々な場所に使用されていますね。木材を使う際、その特徴を理解することは、より良い家づくりに繋がります。 木材をよく見てみると、表面にはっきりとした木目模様が見えますが、断面を見てみると、木目とは異なる模様が見えることがあります。これは「木口（こぐち）」と呼ばれる部分です。木口は、木材の繊維方向に対して直角に切り取られた断面のことを指します。 木口を見ると、同心円状の模様が現れているのが分かります。これは「年輪」と呼ばれ、木が一年ずつ成長した証です。年輪の間隔が狭ければ成長が遅く、広ければ成長が速かったことを示しています。一般的に、年輪の間隔が狭い方が、木材の密度が高く、強度も高いとされています。 木材を選ぶ際には、木口をよく観察することで、木材の強度や性質を見極めることができます。例えば、年輪が詰まっていて、色が均一な木材は、強度が高く、反りや割れなどが発生しにくいとされています。逆に、年輪の幅が広く、色が不均一な木材は、強度が低く、反りや割れなどが発生しやすいため、構造材など負荷のかかる場所への使用は避けた方が良いでしょう。 木材は、自然素材ならではの温かみと、時とともに変化していく表情が魅力です。木口から木材の特徴を理解し、適切な場所に使用することで、より長く、快適な住まいを実現することができます。