相続が発生したらまず何をしたらいいの?相続発生時の手続きリスト

親や、身近な親戚が亡くなった時、残された家族に関わる問題のひとつとして相続があります。特に亡くなった人にそれなりの遺産があった場合はそれらの分配や後処理についてどうするのかを決めていかなければなりません。しかし故人が亡くなったことのショックに加え、葬儀などの慌ただしさもあり相続について何をどうすればいいのか分からないという方も多いかもしれませんね。いざという時に困らないように、ここでは相続が発生した時の備えとなる情報をお伝えしていきたいと思います。

相続が発生する、つまり親や祖父母など遺産を持つ身近な親類が亡くなった時まず何をすればいいのでしょうか。相続が発生した時にしなければならないことを順番にまとめました。

相続発生時にする手続き(すぐやる)

親が亡くなったら、まずは医師に死亡診断書を発行してもらいます。死亡診断書は、死因や死亡時刻を証明する重要な書類です。死亡診断書は、葬儀社や役所に提出する必要があります。死亡診断書の発行は、医師によって異なりますが、通常は1日以内に行われます。

次に、葬儀社に連絡して、葬儀の手配をします。葬儀社は、遺体の搬送や安置、火葬場の予約などを行ってくれます。葬儀社に依頼する際は、親の遺志や宗教、家族の希望などを伝えます。

また、親の身分証明書や印鑑証明書などの重要書類を探しておきます。これらの書類は、後々の手続きで必要になります。また、親の財産や借金に関する書類も探しておきます。例えば、預金通帳や通帳記入印鑑、株式証券や不動産登記簿謄本、保険証や保険契約書、借用書や借金の返済計画表などです。

相続発生時にする手続き(7日以内)

親が亡くなった後にする手続きの中で最も重要なのは、戸籍謄本の取得です。戸籍謄本は、親の氏名や生年月日、配偶者や子どもの関係などを示す公的な証明書です。戸籍謄本は、遺産相続や税金の申告などで必ず必要になります。

戸籍謄本は、親が住民登録されている市区町村の役所で取得できます。死亡診断書と親の印鑑証明書を持っていきます。戸籍謄本の取得は、親が亡くなった日から7日以内に行う必要があります。戸籍謄本の取得にかかる費用は、1通につき300円です。

戸籍謄本を取得したら、次に死亡届を提出します。死亡届は、親の死亡を国に届け出る手続きです。死亡届を提出すると、親の戸籍から死亡の事実が記録されます。また、親の住民票も抹消されます。

死亡届は、親が住民登録されている市区町村の役所で提出できます。死亡診断書と戸籍謄本を持っていきます。死亡届の提出は、親が亡くなった日から7日以内に行う必要があります。死亡届の提出にかかる費用は、無料です。

また、埋葬・火葬許可証の交付申請も市区町村の役所で行います。

相続発生時にする手続き(14日以内)

親が亡くなった後にする手続きの中で最も複雑なのは、遺産相続です。遺産相続とは、親の財産や借金を法律や遺言に基づいて分配することです。遺産相続は、親の配偶者や子どもなどの相続人が関係します。

遺産相続をするには、まずは相続人と相続分を確定します。相続人と相続分は、親が遺言を残していれば、その内容に従います。親が遺言を残していなければ、民法に定められた法定相続制度に従います。

相続人と相続分を確定したら、次に相続税の申告をします。相続税とは、親から受け取った財産に対して国に納める税金です。相続税の申告は、親が亡くなった日から10カ月以内に行う必要があります。相続税の申告にかかる費用は、納税額や納税方法によって異なります。

遺言書の有無を確認

もしも故人が生前に遺言書を残していたのであれば、それを探す必要があります。自宅で保管している場合もあれば、公正証書遺言の場合は公証役場に預けれられています。

自筆証書遺言や秘密証書遺言書はその場で開けず、故人の最後の住所の家庭裁判所で検認を受けなければなりません。見つけたらすぐ見たくなってしまいますが、後々家族間トラブルとなることを避けるためにも開封は検認の時までしないでください。

公正証書遺言書及び法務局遺言保管制度を利用した自筆証書遺言の場合は検認の必要はありません。

財産リストをつくる

故人が所有していた財産にどんなものがあるかをまとめましょう。財産といっても、価値のあるものばかりではなく、借金やローンなどのマイナス財産もあります。それらも含めて何があるかをリストアップしていきます。

【プラスの財産】

  • 通帳
  • 有価証券
  • 不動産(土地や家屋など)
  • 動産(自動車、船舶、宝石、貴金属、美術品)
  • その他(ゴルフ会員権、著作権)

【マイナスの財産】

  • 負債(借金、ローン、買掛金)
  • 税金関係(未払いの所得税、住民税、固定資産税)
  • その他(未払いになっている家賃や医療費など)

※故人が所有・保有していた資格や運転免許、年金受給資格等の一身専属権になるものは相続財産になりません。

相続人の調査・確認

これは財産リストの作成と同時に進めていきたい部分でもありますが、誰が相続人となっているのかを確認するために、被相続人と相続人の戸籍謄本を取得します。中には連絡のつかない相続人や疎遠となっている相続人もいるかもしれません。

相続発生時にする手続き(3か月以内)

相続するかしないかを決める

財産リストを作成してみたら、マイナスの財産の方が多くてどうすればいいの…ということもあったりします。その場合は3か月以内に家庭裁判所で手続きを行い相続財産の放棄をするという選択肢もあります。3か月以内という期限があるので、財産の確認はなるべく早めに行いましょう。もし相続財産を放棄したいのに何もせず3か月が経過した場合、単純承認されたものとみなされ自動的に相続することになります。

相続発生時にする手続き(なるべく早く)

親が亡くなった後にする手続きの中で最も忘れやすいのは、保険や年金などの手続きです。親が加入していた保険や年金は、死亡したことで給付金や受給権が発生する場合があります。これらの手続きをしないと、損失やトラブルが発生する可能性があります。

保険や年金の手続きは、それぞれの契約先や窓口に連絡して行います。保険や年金の種類や条件によって異なりますが、通常は死亡証明書や戸籍謄本などの書類を提出する必要があります。保険や年金の手続きは、親が亡くなった日から14日以内に行うことが望ましいです。

準確定申告を行う

故人が生前に得ていた収入の確定申告を亡くなってから4か月以内に行わなければなりません。もし生前に個人事業主をしていて、顧問税理士がいた場合は亡くなったらすぐに連絡をしておきましょう。

遺産分割協議の開始

急な逝去で遺言書が残されていなかった場合や、残されていた遺言書を使わない場合は遺産分割協議を始める必要があります。

財産リストをもとにしながら、何を誰が相続するかを決めていきます。同時進行で遺産分割協議書を作成します。しかしここで家族間のトラブルが起きやすいのも事実で、話がなかなかまとまらないという場合は弁護士に相談しましょう。

相続財産の名義変更

遺産分割協議により何をどのように分配することが決まったら、相続の手続きを開始します。土地や不動産、銀行口座、株式などは持ち主を変更するために相続登記や名義の変更、払い戻しの手続きを行わなければなりません。

相続登記や名義の変更に期限は定められていませんが、長く放置してしまうと不動産の売却や担保にすることができなくなってしまったり、相続登記をするまでの間に相続人が増えてしまい、一人当たりの分け前が減ってしまうなどのデメリットが生じてしまう可能性があるので、相続登記や名義の変更は速やかに行いましょう。

相続税の申告や納税

故人が亡くなってから、10か月以内に相続税の申告をし、納税を行わなければなりません。申告を行うのは故人の住所の最寄りに所在する税務署です。

相続税は、節税対策を行うことでかなり抑えることもできます。初めての相続の場合はどうすれば節税対策になるのか分からないことも多くあり、何も知らずに申告してしまうと損をしてしまう可能性もあります。よく下調べをしたり、それでも不安な場合は相続税について詳しい税理士に相談することをおすすめします。

極力早めに手続きをすべき事柄

手続きの種別内容提出先窓口
名義変更・解約電気契約先
ガス
水道
NHK
電話
クレジットカード
住宅ローン金融機関
預貯金
有価証券証券会社
不動産法務局
自動車陸運局
保険金の請求生命保険/傷害保険契約先
契約の変更火災保険/自動車保険

よくあるご質問

よくあるご質問

Q:子の死亡で相続人が親だけの場合、相続手続きは必要?

A:はい、必要です。第一順位の相続人たる子なき場合、第二順位の直系尊属が相続人となり、相続手続きが必要です。


Q:養子が死亡した場合、実父母には相続権はない?

A:特別養子縁組でない限り、実父母にも相続権はあります。


Q:内縁関係は、長期に渡れば相続権が発生する?

A: あくまで内縁関係であり、血縁関係ではない為相続権は発生しません。


Q:死亡後20年経過すると、亡くなった人の財産は同居していた人の所有となる?

A: 相続に時効取得のような制度はありません。手続きが必要です。


Q:連れ子は相続人になれる?

A: 養子縁組をしない限り相続人にはなれません。


Q:相続人はどのように特定するの?

A: 遺言者の出生からの戸籍謄本を取得し、相続関係図を作成します。


Q:遺産分割協議がまとまらないときは?

A: 家庭裁判所にて調停で決着をつけることになるでしょう。調停とは解決に向けた話し合いのようなものです。

「私はもめるほどの大した財産はない」とおっしゃる方が多いのですが、相続財産が少なくてももめます。相続人が多ければ多いほど、それに比例してもめる可能性も高くなるでしょう。
一度こじれると長期化するパターンが多く、精神的にも金銭的にも疲弊します。そのような場合、「遺言書があればよかったのに」と思われる方も多くいらっしゃいます。残された親族のためにも、やはり遺言書は必要不可欠です。


Q:相続税の納付は現金一括払い?

A: 基本は金融機関の窓口で現金一括払いとなりますが、最近はクレジットカードでの納付も可能になったそうです。詳細は国税庁のホームページをご参照ください。

相続まとめ

相続まとめ

相続について何も知らなかった方や、急に故人が亡くなってしまい何の準備もできていなかったという方にとっては相続の手続きに対してかなり高いハードルを感じることかと思います。また相続がきちんと行われなければ、家族間での根深いトラブルに繋がってしまうこともあり得ます。そういった事態を避けるためにも、親や祖父母が人生の後半に差し掛かってきたら遺言の作成を勧めてみたり、実際に亡くなってしまった時には相続に詳しい税理士の力を借りながら財産の分配や管理を行いましょう。

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