遺言は自筆証書遺言保管制度を利用しよう

遺言書とは

遺言書とは

多くの方が勘違いするのでここで明確にしておきますが、「遺言書」と「遺書」は異なります。
まず、「遺書」は正しく死の直前に記す(残す=遺す)書です。それに対し、「遺言書」は確かに遺言者の死後の内容を記すものですが、主に相続財産の分配方法がメインです。法的拘束力が発生します。「付言事項」でメッセージを残すことはできますが、それはあくまでメッセージであり、法的拘束力は生じません。

遺言書とは、被相続人(遺言者)が相続人に対して不動産や現金・預貯金等の相続財産の相続分を分配するための指示書のようなものです。これは、遺言者が元気なうちにしか書くことが出来ません。例えば相続人が複数人要る場合や相続人同士の中が悪い場合、連絡が付かない相続人がいる等、相続発生後に相続人同士でのトラブルが予見される場合は特に遺言書を書く必要があります。

こんな方にはぜひ遺言書!

こんな方にはぜひ遺言書!

基本的には遺言書は全ての人が書く必要のあるものですが、特に遺言書を書いておく必要があると思う方について、下記にまとめました。

  • お子様のいない御夫婦
  • 長男の嫁に財産をあげたい
  • 慈善団体に財産を寄付したい
  • 障害を持つ子供がいる
  • 暴力をふるう息子に相続させたくない
  • 先妻との間に子供がいる
  • 認知したい子どもがいる
  • 相続人が多い
  • 殆ど会ったことの無い甥姪がいる
  • おひとりさま(相続人が誰もいない)
  • 不仲の相続人がいる(その相続人の嫁が入れ知恵)
  • 相続財産が土地・建物しかない (現物を法定相続分で分けるのが困難)
  • 相続人がそれぞれ遠方に住んでいる(場合によっては海外に住んでいる)

いかがでしょうか。あてはまるケースはありましたか。これ以外にもいろいろ考えられます。今まで円満に生活していた家族が、遺言書がなかったがためにバラバラになったケースは多々あります。相続財産が少なければ少ないほど、そして相続人が多ければ多いほどもめやすいです。「ウチは大丈夫」と思っているご家庭ほど相続でもめるのも多々あります。ぜひ一度、遺言書を書いていない方は書いてみましょう。また、すでに書いているという方もこれを機会に見直してみましょう。遺言書は一度書いて終わりではありません。新しい遺言書が有効なのです。以前書いた遺言書の内容に不満がある場合は新たに書き直してみませんか。
また、いきなり遺言書を書くのははばかられる、という方はエンディングノートを書いてみてもいいでしょう。いずれにしても、何か行動に起こさない限りは何も始まらないのです。

自筆証書遺言保管制度の概要

自筆証書遺言保管制度の概要

令和2年7月10日より、法務局において自筆証書遺言の保管制度(以下、保管制度)が始まりました。この制度の目的・趣旨を一言でいうならば、「スムーズな相続手続きを行うこと」です。従来の遺言書の制度は手続きが多く、遺言書を書こうにもハードルがいささか高い為、遺言書を書く文化が普及せず、その結果として相続トラブルが発生することが多々ありました。そこでこの保管制度を導入することにより、自筆証書遺言の手軽さを残したまま、法務局という公的機関に保管することの安全性を確立することができたのです。

従来の自筆証書遺言との比較

 従来保管制度
保管方法自分で金庫等に保管法務局
改ざんの可能性ありほぼなし
検認必要不要

法務局に保管ができ、改ざんの可能性がほぼなくなる

今までは遺言書を書いたら自宅の金庫や貸金庫などに保管するより仕方ありませんでした。しかしながら、せっかく書いた遺言書が見つからなかったり、金庫の暗証番号を忘れたり、貸金庫を開扉するにも相続人全員の押印が必要である場合があったりと、保管するのも一苦労でした。

それが、法務局に保管することができるようになりました。安全な場所に保管できるため、改ざんの可能性がほぼなくなりました。これは、自筆証書遺言の有効性を保つ上で非常に大きなポイントです。

家庭裁判所による検認が不要

もう一つのポイントとしては、家庭裁判所の検認が不要であることです。従来は、封をされた自筆証書遺言においては家庭裁判所に検認の請求をした上で開封をしなければならず、検認なき場合において勝手に開封をすると過料に処せられる場合がありました。しかし、遺言書の内容を確認するためにわざわざ家庭裁判所に検認の申し立てをしに行くのは不便な手続きであると言わざるを得ません。しかも、申し立てから検認までは約1か月ほど時間が掛かり、迅速さに欠けます。これではスムーズな相続は望めません。

しかし、今回の保管制度においては家庭裁判所による検認は不要とされています。後述しますが、今回の保管制度においてはそもそも遺言書を封する必要はありません。

通知制度がある

遺言者があらかじめ遺言書を法務局に保管している事実に関する通知を希望している場合,その通知対象とされた方(遺言者1名につき3名まで指定可)に対しては,遺言者の死亡の事実が確認できた時に,2-3週間ほどで法務局に遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。
この通知制度を使えば、不慮の事故があった際も通知対象者に通知が届き、相続手続きを進めることが出来ます。また、この通知対象者は相続人以外の者を指定する事も出来ます。

公正証書遺言との比較

 公正証書遺言保管制度
保管場所公証役場法務局
費用高い安い
作成の手間公証人による打ち合わせや証人による立ち合いが必要手軽に作成できる
出張サービスありなし

保管場所は公的機関

保管場所に関しては双方とも公証役場・法務局といった公的機関です。自宅の金庫よりも安全・安心であると言えるでしょう。

費用が決定的に違う

公正証書遺言と保管制度の大きな違いは、遺言書作成における費用や手間暇であると言えます。例えば、以下の表は公正証書遺言を作成する際の公証人手数料です。これが公正証書遺言を作成する上での費用となり、ハードルでもあります。相続財産の額により変動します。以下の表をご覧ください。

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

公証人手数料についての注意事項

  • 相続人が複数人いる場合、相続人ごとに手数料が発生します。手数料の額は相続財産額により変動します。例えば妻に6000万、長男に4000万相続させる場合、手数料は妻に対して43000円、長男に対して29000円発生します。
  • 祭祀承継者(遺言執行者)を指定する場合、それも法律行為とみなされるため、算定不能額として11000円の手数料が発生します。
  • 1通の遺言公正証書における目的の価額の合計額が1億円を超えないときは、11000円が発生します。
  • 遺言原案の証書枚数のうち、4枚までは無料ですが、5枚から1枚につき250円の超過枚数が加算されます。また、原本だけでなく正本・謄本も発行されますので、1枚加算につき用紙代総額750円が加算されます。

5枚以上の原案にかかる用紙代(1枚追加されるごとに750円ずつ加算)

5枚6枚7枚8枚9枚10枚
¥3,500¥4,250¥5,000¥5,750¥6,500¥7,250

以上のように、公正証書遺言のデメリットは「費用が高い」点にあります。少なくとも私には高く感じます。「そんなに高いなら遺言はやめる」という方が多くいます。それに対して保管制度はどうでしょうか。以下が保管制度の手数料です。

手数料の一覧
法務省民事局発行 「自筆証書遺言保管制度のご案内」パンフレットより引用

法務局という公的機関に預けるため、さすがに無料というわけにはいきませんが、少なくとも公証人手数料に比べて段違いに安いです。これだけ安い手数料で、法務局という公的機関に保管ができるのであれば、「この金額なら遺言書を書いてみようかしら」という方は増えるかと思います。

手間暇をかけずに手軽に書ける

公正証書遺言は公証役場において、まず公証人と遺言内容に関する打ち合わせをしたり、証人を手配する必要があります。そして、遺言内容を公証人が読み上げるのですが、そもそも遺言内容はプライベートなことであり、それを(見ず知らずの)証人2名の前で読み上げられることに対して心理的抵抗を抱いている方は少なからずいます。

また、公証人によっては癖の強い人もいるため、自分で考えていた遺言内容が大きく変更され、あたかも「公証人が作った遺言書」となってしまうのですが、そもそも遺言書の主権は遺言者にあるものです。公証人はそのような遺言者の意思を尊重した上で作成してくれればいいのですが、それは公証人によりけりです。仮に自分の意図が尊重されないまま遺言書が作成されたとしても、公証人手数料は払わなければなりません。いくら「手間暇かけて作成された遺言書だから手数料も高い」と言われても、納得できない方は多いのではないでしょうか。

その点、保管制度は「自筆証書遺言」です。「自分で書く」というのは確かに手間ではありますが、少なくとも自分の意志が込められているのは確かです。但し、自筆証書遺言だからと言って中身は何でもいいわけではなく、決められた方式、そして紛争の起きにくい内容に仕立てるべきです。

保管制度に出張サービスはありません

保管制度が公正証書遺言より劣っている一例として、「出張サービスがないこと」があげられます。これは、公正証書遺言の場合、公証人が自宅まで来て公正証書遺言を作成する出張サービスがあるところ、保管制度(法務局)には出張サービスがありません。つまり、遺言者が自ら法務局まで出向いて申請する必要があります。体調が思わしくなく法務局へ出向くことができない場合は、この保管制度を利用することはできません。
ただ、遺言書の本質は「遺言者が元気なうちに書く」ものであり、少なくとも自分自身で遺言書を書き、それを法務局まで持って行けるだけの体力がある方でなければ、そもそも遺言書を有効に残すことはできません。

自筆証書遺言の作成

自筆証書遺言は、民法上では「全文」「日付」「署名」を自書し、押印すれば法的には有効であるとされています。また、書式は確かに自由ですが、紛争の火種を残さないように、遺留分に配慮した遺言内容にするべきでしょう。また、法改正により、財産目録を別紙に添付する場合はパソコン・ワープロによる入力・作成も可能となりました。以下、法務省のパンフレットより引用した「遺言書の様式の注意事項」です。ご参照ください。

遺言書の様式の注意事項
法務省民事局発行 「自筆証書遺言保管制度のご案内」パンフレットより引用
自書によらない財産目録の例
法務省民事局発行 「自筆証書遺言保管制度のご案内」パンフレットより引用

自筆証書遺言の保管申請

さて、自筆証書遺言が完成し、いよいよ法務局へ保管申請をします。しかし、法務局と言っても、法務局と名の付くところであればどこでもいいのでしょうか?法務局には本局、地方法務局、支局、出張所といった具合に全国各地に所在していますが、自筆証書遺言の保管を取り扱う「遺言書保管所」は、次のいずれかでなければなりません。

  • 遺言者の所在地の遺言書保管所
  • 遺言者の本籍地の遺言書保管所
  • 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所

神奈川県内の遺言書保管所

ここでは、行政書士リーガルプラザのサービス対象エリアである神奈川県内の遺言書保管所についてご案内します。

遺言書保管所管轄区域
横浜地方法務局本庁 〒231-8411 横浜市中区北仲通5丁目57番地 横浜第2合同庁舎 電話:045-641-7655横浜市
川崎支局 〒210-0012 川崎市川崎区宮前町12-11 川崎法務総合庁舎 電話:044(244)4166川崎市
横須賀支局 〒238-8536 横須賀市新港町1番地8 横須賀地方合同庁舎 電話:046(825)6511横須賀市 逗子市 三浦市 三浦郡
湘南支局 〒251-0041 藤沢市辻堂神台二丁目2番3号 電話:0466(35)4620鎌倉市 藤沢市 茅ヶ崎市 高座郡
西湘二宮支局 〒259-0123 中郡二宮町二宮1240番地1 電話:0463(70)1102平塚市 小田原市 秦野市 南足柄市 中郡 足柄上郡 足柄下郡
相模原支局 〒252-0236 相模原市中央区富士見六丁目10-10 相模原地方合同庁舎 電話:042(753)2110相模原市
厚木支局 〒243-0003 厚木市寿町三丁目5-1 厚木法務総合庁舎 電話:046(224)3163厚木市 大和市 伊勢原市 海老名市 座間市 綾瀬市 愛甲郡

例えば行政書士リーガルプラザの所在地である横浜市青葉区には横浜地方法務局の青葉出張所があるのですが、青葉出張所は遺言書保管所ではありません(遺言保管制度の取り扱いをしていません)。まずは上記の表において、遺言者の住所地または本籍地がどこにあるのか、そして管轄の法務局がどこにあるのかを特定しなければなりません。

申請時における必要書類

申請の前に、必要書類を揃えなければなりません。必要書類は以下の通りです。

  • 遺言書(封をせず、綴じ合わせない)
  • 申請書こちらよりダウンロードできます。また、記入例はこちら
    • 遺言申請書の住所および本籍地は住民票の記載通りに記入する必要があります。
  • 添付書類(次の2つのうちいずれか)
    • 遺言者の住民票
    • 遺言者の戸籍謄本及び戸籍の附票
      • (遺言書が外国語の場合に限り)遺言書の日本語翻訳文
  • 収入印紙(手数料納付用紙に収入印紙3900円分を貼り付けて提出。印紙は法務局にて購入可能)
  • 実印(シャチハタ不可)
  • 顔写真つきの本人確認資料(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど。健康保険証は顔写真がないので不可)

予約をして申請

必要書類が揃ったら、必ず予約をしてから申請しましょう。いきなり法務局へ申請に行っても待たされる場合があります。特に保管制度は便利な制度であることから予約が殺到している可能性もあるため、いずれにしても管轄法務局へ問い合わせましょう。また、インターネット上からも予約ができますので、併せてご利用ください。

法務局の遺言保管窓口へ必要書類一式を提出します。法務局の担当者は様式のチェックのみを行い、遺言書の中身のチェックは行いません。例えば、ページ番号や日付の記入漏れ等の指摘はしますが、「ここはこう書いたらどうですか」といったアドバイスはしません。
様式上問題がなければ収入印紙(3900円)を貼ります。その後、法務局による登録申請作業(約20-30分)が行われたのち、保管申請完了となります。保管申請が完了しましたら、保管受領証が交付されます。

保管証

自筆証書遺言の保管後

保管証の受領

保管受領証には以下の内容が記載されます。

  • 遺言者の氏名
  • 遺言者の出生の年月日
  • 遺言書が保管されている遺言書保管所の名称
  • 保管番号

◆保管証受領における注意事項

  • 郵送などで保管証を受領することも出来ます。その際の送料は遺言者負担となります。
  • 保管の開始から3か月を経過しても遺言者が保管証を受領しない場合、遺言者保管官は保管証を廃棄することができます。
  • 保管証の再発行はできません。紛失に注意した上で大切に保管してください。また、仮に保管証がない場合であってもその他の手続き自体は可能ですが、あればよりスムーズに手続きができます。

データによる保管

遺言書の保管に関しては、紙ベースだけでなく、データ化した上でも保管されます。これを、遺言書保管ファイルといいます。このように、遺言書をデータ化することにより、全国の遺言書保管所において遺言書の有無や内容の検索が可能になります。

また、遺言書の原本の保管期間は、遺言者の死亡の日から50年経過したら遺言書保管官はその遺言書を廃棄することができるのに対し、データ化された遺言書保管ファイルは遺言者の死亡の日から150年経過したら、遺言書保管官は遺言書保管ファイルを廃棄・削除することができます。

変更の届出

保管申請後に遺言者や受遺者の氏名や住所等に変更が生じた場合、その旨届け出なければなりません。

  • 届出書の作成(記入例
  • 変更の届出の予約
  • 届出書及び添付書類の提出
    • 変更が生じた事項を証する書面(住民票の写し、戸籍謄本等)
    • 請求人の身分証明書のコピー

◆変更の届出の注意点

  • 郵送による届出も可能です。
  • 手数料は不要です。

遺言書の閲覧請求(遺言者)

遺言者は、保管されている遺言書を閲覧することができます。閲覧方法は、原本とモニターの2通りあります。原本の場合、当然のことながら原本が保管されている遺言書保管所でしか閲覧請求ができません。それに対してモニターによる閲覧の場合は全国の遺言書保管所に閲覧請求ができます。請求する際は、請求書を作成し、閲覧請求の予約をしてください。(記入例)閲覧する際に本人確認のための顔写真つきの身分証明書の提示をする必要があります。

遺言書の閲覧請求(関係相続人等)

遺言者以外の関係相続人等においても、遺言書の閲覧請求をすることができます。ただし、閲覧請求ができるのは遺言者の死後に限ります。すなわち、遺言者が生存している間は、遺言者以外の関係相続人等は遺言書の閲覧請求をすることはできません。請求先や手数料、請求方法(請求書記入例)については、遺言者による遺言書の閲覧請求のものと同様です。

また、関係相続人等が遺言書の閲覧をした場合、遺言書保管官は閲覧をした方以外の相続人等に対して遺言書を保管している旨を通知します。

◆遺言書の閲覧請求における請求先と手数料

 原本モニター
請求先原本が保管されている遺言書保管所のみ全国の遺言書保管所
手数料1700円1400円

遺言書の保管申請の撤回請求

遺言書の保管の撤回を請求することも出来ます。

  • 撤回書を作成します。(記入例
  • 撤回の予約をします。(遺言書の原本が保管されている遺言書保管所に限ります)
  • 撤回書を提出し、遺言書を返却してもらいます。その際、顔写真つきの身分証明書の提示が必要です。
  • 例えば以前に遺言書を法務局で保管していて、別の遺言書を新たに法務局に保管申請する場合、前の遺言書は上書きされる形になりますが、それと共に前の遺言書の撤回請求を行った上で改めて新しい遺言書の保管申請をする必要があります。

遺言書の保管申請の撤回請求の注意点

  • 撤回請求ができるのは遺言者本人のみです。関係相続人等は撤回請求はできません。
  • 保管申請の撤回を請求しても、遺言書の効力に変化はありません。(=撤回即無効というわけではありません)
  • 手数料は不要です。
  • 遺言書の保管を撤回すると、遺言書保管官は当該遺言書のデータ情報を消去します。

申請書や撤回書の閲覧請求

遺言者や関係相続人等は、「特別の事由」がある場合に限り、遺言書の申請書や撤回書を閲覧することができます。何をもって特別の事由と認められるかは、遺言書保管官により個別具体的に判断されます。

  • 請求書を作成します。(記入例)(関係相続人等の請求書記入例
  • 閲覧請求の予約をします。(遺言書の原本が保管されている遺言書保管所に限ります)
  • 請求書を提出し、申請書や撤回書を閲覧します。その際、顔写真つきの身分証明書の提示が必要です。

◆申請書や撤回書の閲覧請求の注意点

  • 関係相続人等が申請書や撤回書の閲覧請求を請求できる場合は、遺言者が死亡している場合に限ります。
  • 手数料は1700円です。

遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書

遺言者亡き後、関係相続人等は遺言書保管所に対して遺言書が保管されているかどうか、そしてその内容について情報開示請求をすることができます。(情報開示請求ができるのは、遺言者が無くなられている場合に限られます。遺言者が生存している場合は請求はできません)

 遺言書保管事実証明書遺言書情報証明書
確認内容遺言書の「有無遺言書の「内容
請求場所全国の遺言書保管所全国の遺言書保管所
手数料800円1400円
その他の相続人への通知なしあり
様式請求書記入例請求書記入例

◆遺言書保管事実証明書

遺言書保管事実証明書
遺言書保管事実証明書
請求人の資格が「相続人」で,遺言書が保管されている場合の見本
遺言書保管事実証明書
請求人の資格が「相続人以外」で,遺言書が保管されていない場合の見本

遺言書情報証明書

遺言書情報証明書
遺言書情報証明書
遺言書情報証明書の見本

関係遺言書保管通知制度

保管制度の特徴の一つとして、遺言書保管官による遺言書保管通知制度があります。これは、以下の場合において、遺言書を保管している旨を遺言者の相続人等に郵便等にて通知する制度のことです。

  • 遺言書情報証明書を交付して、遺言書の内容を確認させたとき
  • 関係相続人等に、関係遺言書原本またはモニターの閲覧をさせたとき

端的に言えば、遺言書の内容を関係相続人等に閲覧させた場合は、その他の関係相続人等にも通知する、ということです。今まではそのような関係相続人等に通知するのは当然自分たちでやらなければならなかったところ、今回の保管制度においては遺言書保管官(=法務局)が通知を行ってくれるということです。これは非常に画期的な制度であると思います。

自筆証書遺言保管制度のまとめ

 遺言者関係相続人等郵送申請/請求
遺言書保管申請××
遺言書の保管申請の撤回××
遺言書の閲覧請求×
申請書等の閲覧請求×
遺言者の住所等の変更の届出×
遺言書情報証明書の交付請求×
遺言書保管事実証明書の交付請求×

遺言者と関係相続人等が申請・請求できることを上記の表にまとめました。元々ある自筆証書遺言の手軽さを残しつつ、公正証書遺言のような保管制度を付け加えたという、両者のいいとこどりをしたような制度が、法務局による自筆証書遺言保管制度です。

自筆証書遺言コンサルティングのご案内

行政書士リーガルプラザでは、自筆証書遺言の作成補助業務を行います。自筆証書遺言ですのでご自身で自筆して頂きますが、不備のないよう、かつ紛争が起きにくいようアドバイスします。また、ご自宅で作成できるよう作成補助資料もお渡しします。

サービス内容金額(税込み)備考
自筆証書遺言コンサルティング33,000円作成から申請までサポート

業務の流れ

  • お問い合わせフォームまたはお電話にてご相談・お申し込みください。
  • 頂いた情報に基づき、見積書を作成します。
  • ご入金が確認でき次第業務開始となります。

遺言全般についてのよくあるご質問

遺言全般についてのよくあるご質問

Q:夫婦連名で同じ内容の遺言書を作ることはできるの?

A:夫婦連名で同じ内容の遺言書を作ることはできません。各々が遺言書を作成する必要があります。


Q:公正証書遺言であれば、公証役場が無料で遺言執行をしてくれる?

A: 公証役場で無料で遺言執行することはありません。遺言書に遺言執行者の定めがない場合は相続人全員で遺言執行をしなければなりません。


Q:遺言者死亡後に、相続人のみで遺言執行者を決めることはできる?

A: 遺言書に遺言執行者の指定があれば、その人が遺言執行者となり、相続人全員の代理人とみなされます。指定なき場合は、相続手続きの一切を相続人全員が行うことになります。


Q:遺言書が2通ある場合、どちらが優先されるの?

A: 日付が新しい遺言書が優先されます。自筆証書遺言か公正証書遺言かどうかは関係ありません。


Q:遺言は縁起が悪いので、遺言書を書く気が乗らないのですが・・・

A: そもそも遺言を残す目的とは、ご自身の死後に遺言の内容を速やかに実行することです。 遺言の内容はご自身で考えるのですが、そのために頭の中で考えていたことを文書に書き記す(=アウトプットする)ことは一つの爽快感にもつながります。 今までの人生や残された家族のこと、財産など振り返ってみるいい機会だと思います。 現実から目を背けずに真正面から取り組むことにより、今まで以上に前向きに生きることができるのではないでしょうか。 ぜひご検討ください。


Q:「予備的遺言」とは何ですか?

A:遺言者よりも先に相続人が死亡した時の備えです。

<例> 第○条 遺言者は、前記○○が遺言者に先立って死亡し、又は遺言者と同時に死亡したときは、第○条により同人に相続させるとした財産を、■■(昭和○○年○月○日生、住所・○)に遺贈する。


Q:「付言事項」とはなんですか?

A:遺言書の中の遺言者の思いを伝える項目です。例えば法定相続分出ない分け方をした場合、なぜそのような分け方をしたのかを記したり、その他、家族への思いを残したりします。法的拘束力はありませんが、遺産分割の争いを予防する効果が期待できます。


Q:遺言を残したら財産は使えなくなるの?

A: 遺言とはそもそもご自身の死後に効力が発生するものです。 遺言書を作成した時から効力が発生するものではありませんのでご注意ください。 ですので、遺言書を残した後でも自由に財産を使うことができます。


Q:経営する会社の財産の処分を遺言書で指定することはできる?

A: 遺言で処分の指定ができる財産は、遺言者個人の財産のみです。会社財産などについて遺言をしても無効となります。


Q:遺言の内容が遺留分の規定に反するものでもいいの?

A: 遺言の内容が遺留分の規定に反するものであっても遺言が無効になることはありませんが、遺留分権利者から減殺請求をされた場合はこれに応じる必要があります。遺留分権利者が減殺請求をしないように付言事項などに記載することはできますが、法的拘束力は生じません。なぜこのような相続財産の配分にしたのか、理由を明記すると効果的です。


Q:複数の自筆証書遺言が発見された場合、最後の遺言書についてのみ検認の申し立てを行えばよい?

A: 発見されたすべての遺言書の検認申立てを行わなければなりません。怠った場合は過料に処せられる場合があります。


Q:遺言書には従わなければならないの?

A: 遺言書は相続財産を分配するための指示書です。法的拘束力をもちます。但し、相続人全員の合意があれば、遺言書の内容を覆すことができます。


Q:遺言の種類とメリット/デメリットは?

A: 遺言書は以下の3種類あります。

自筆証書遺言

メリット:費用があまり掛からない

デメリット:無効である場合が多い/真贋を巡ってトラブルが多い/お金をおろすのに時間が掛かる(家庭裁判所に検認の申し立てを行うため、3か月以上かかる)

◆公正証書遺言

メリット:公証役場で作成/保管するため安心

デメリット:公証人手数料が必要となる

◆秘密証書遺言

メリット:遺言内容を人に知られずに済む

デメリット:そもそも遺言の存在を知られない可能性がある

秘密証書遺言はあまり使われません。基本的には自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかになるかと思われます。法改正により自筆証書遺言での作成を希望される方が増えるかと思いますが、遺言書の偽造など真贋を巡ってトラブルになることも多いです。その反面、公正証書遺言はコストが高いという難点もあります。行政書士リーガルプラザでは「自筆証書遺言法務局保管制度」による遺言書の作成をお勧めします。

空き家毎日クリック
タイトルとURLをコピーしました