先生、この『建物譲渡特約付き借地権』って、普通の借地権と何が違うんですか?
良い質問だね!まず、通常の借地権は更新ができる場合が多いのに対し、『建物譲渡特約付き借地権』は、あらかじめ決められた期間が来たら更地にして土地を地主に返還する必要があるんだ。その代わり、期間満了時に建物を地主に買い取ってもらう権利があるんだよ。
なるほど。ということは、期間満了後も土地を使い続けたい場合は、この借地権は選べないということですか?
その通り!この借地権は、どちらかというと地主向けに作られた制度と言えるね。長期間の土地利用を希望する借主には、別の借地権契約が適している場合が多いよ。
建物譲渡特約付き借地権とは。
「建物譲渡特約付き借地権」とは、1992年8月1日から施行された新借地借家法で定められた、期間の定めのある借地権の一種です。この借地権では、土地を借りている人は、契約開始から30年以上経過した時点で、土地の上に建っている建物を土地の所有者に適正な価格で譲渡しなければなりません。そして、建物の譲渡が完了した時点で、借地権は消滅します。つまり、「建物譲渡特約付き借地権」の期間は、少なくとも30年以上となります。また、借地権が消滅した時でも、建物を借りている人は、土地の所有者に対して、自分が借地権を持っていたことを主張することができます。
建物譲渡特約付き借地権とは?
借地権とは、他人の土地を借りて建物を所有できる権利のことですが、建物譲渡特約付き借地権は、さらに借地契約が終了する際に、土地の所有者に対して、土地の上に建てた建物を買い取るように請求できる権利を指します。
この権利があることで、借地人は、更地にして土地を返還する必要がなくなり、建物の価値をある程度保証されることになります。一方、地主は、更地に戻すための費用を負担せずに済む、借地権設定時の借地料収入を高く設定できるなどのメリットがあります。
定期借地権との違い
借地権には、契約期間が満了すると更地にして土地を返還する必要がある通常の借地権とは別に、借地期間満了後も借地権者が土地を所有し続けられるという特徴を持つ「建物譲渡特約付き借地権」と「定期借地権」の2種類が存在します。
どちらも期間満了後に更地にして返還する必要がないという点では共通していますが、建物譲渡特約付き借地権は、契約期間満了時に建物を地主に無償で譲渡するという点が大きく異なります。一方、定期借地権は、契約期間満了時に土地と建物の両方が地主に返還されます。
つまり、建物譲渡特約付き借地権は、借地期間満了後も土地の所有権は地主に移りますが、借地権者は無償で建物を譲渡することで、土地の使用料である地代を支払わずに済むというメリットがあります。一方、定期借地権は、契約期間満了時に土地と建物の両方が地主に返還されるため、借地権者は土地の使用に対する対価を得ることができません。
メリット・デメリットを解説
建物譲渡特約付き借地権は、借地期間満了後も更地に戻す必要がなく、建物を地主に譲渡できるという点で、借主にとって大きなメリットがあります。特に、事業用地として利用する場合、建物の残存価値を考慮することで、初期費用を抑え、資金繰りを円滑にすることが可能です。また、更新料や借地権の価格交渉といった煩わしい手続きを回避できる点も魅力です。
しかし、デメリットとして、地主が必ずしも建物を買い取ってくれるとは限らないという点が挙げられます。契約時に買取価格について明確な取り決めがない場合、トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。また、建物の所有権が地主に移るため、借主は建物の価値が上昇した場合でも、その利益を得ることができません。さらに、土地の使用目的が制限される場合もあるため、契約内容をよく確認する必要があります。
活用事例
建物譲渡特約付き借地権は、様々な状況において有効に活用できます。例えば、資金調達が必要な土地所有者の場合、更地よりも借地権付きの土地として貸し出すことで、借地料収入に加えて、将来建物取得によるまとまった収入を得られる可能性があります。
一方、事業用地を探している企業にとっては、土地を購入するよりも初期費用を抑えられ、契約期間満了後に建物を買い取ることができれば、長期的な事業計画も立てやすくなります。
また、相続対策としても有効です。土地を貸し出したまま相続が発生した場合、相続税評価額が抑えられ、相続税負担を軽減できる可能性があります。
このように、建物譲渡特約付き借地権は、土地所有者、借地権者双方にとってメリットがある契約形態と言えるでしょう。
注意点と将来の見通し
建物譲渡特約付き借地権は、借地期間満了後の土地の扱いや建物の価値など、将来の見通しが重要となる契約です。契約期間が満了した場合、更地に戻す義務や更新の可否、更新料など、事前にしっかりと確認しておく必要があります。また、将来、土地の価格が大きく変動した場合のリスクについても考慮が必要です。例えば、土地の価格が上昇した場合、借地権の更新料が高額になる可能性があります。逆に、土地の価格が下落した場合、建物の価値も下落し、売却が難しくなる可能性もあります。さらに、建物の老朽化や相続など、長期的な視点で検討すべき課題も多く存在します。これらの点を踏まえ、専門家への相談や情報収集を十分に行い、自身のリスク許容度やライフプランに合った選択をすることが大切です。