今さら聞けない!「単独浄化槽」って?

今さら聞けない!「単独浄化槽」って?

リフォームについて知りたい

先生、リフォームのときに見る資料で「単独浄化槽」っていう言葉が出てきたんですけど、どういうものですか?

リフォーム専門家

いい質問だね。「単独浄化槽」はトイレやお風呂からの水をきれいにする装置なんだけど、環境への負担が大きいということで、今はもう作られていないし、新しく設置することもできないんだよ。

リフォームについて知りたい

そうなんですね。じゃあ、もしリフォームする家で「単独浄化槽」が使われていたら、どうすればいいんですか?

リフォーム専門家

その場合は、環境への負担が少ない「合併浄化槽」という種類の装置に取り替える必要があるね。リフォームの計画を立てる際には、必ず浄化槽の種類を確認するようにしよう。

単独浄化槽とは。

リフォームをする時に耳にする『単独浄化槽』っていうのは、トイレや洗面所からの汚れた水だけを綺麗にする装置のことです。でも、環境への影響を考慮して、今はもう作られていないし、新しく設置することもできません。

単独浄化槽とは

単独浄化槽とは

– 単独浄化槽とは単独浄化槽とは、読んで字の如く、トイレからの排水だけを処理する浄化槽のことです。水洗トイレの普及に伴い、し尿を処理する目的で広く設置されてきました。トイレ以外の排水、例えば、台所やお風呂、洗濯機から出る生活排水は、浄化槽を通さずにそのまま河川や下水道に放流されます。かつては浄化槽といえば単独浄化槽を指すほど、主流の設備でした。しかし、トイレ以外の生活排水は、そのまま河川や下水道に流れ込むため、水質汚濁の原因となることが問題視されるようになりました。特に、洗剤に含まれるリンなどが、閉鎖性水域の富栄養化を招き、環境問題に発展することも少なくありません。このような背景から、現在では、環境への負荷軽減の観点から、単独浄化槽の新規設置は原則として禁止されています。代わりに、トイレ排水だけでなく、生活排水も併せて浄化する合併浄化槽の設置が義務付けられています。ただし、既存の単独浄化槽については、当面の間使用が認められています。しかし、老朽化による破損や、環境への負荷の観点から、合併浄化槽への転換が推奨されています。各自治体によっては、転換費用の一部を助成する制度もあるため、検討してみるのも良いでしょう。

項目説明
定義トイレからの排水のみを処理する浄化槽
処理対象トイレ排水のみ(台所、お風呂、洗濯機の排水は処理しない)
メリットかつては主流設備だった
デメリット生活排水が未処理のまま河川などに放流され、水質汚濁の原因となる
現状新規設置は原則禁止、既存設備の使用は認められているが合併浄化槽への転換が推奨

単独浄化槽の仕組み

単独浄化槽の仕組み

– 単独浄化槽の仕組み

単独浄化槽は、微生物の力を使って生活排水などをきれいにする装置です。家庭から出るトイレの汚水、台所やお風呂などの生活排水を浄化し、川や海に放流できるレベルまで水質を改善します。

浄化の過程は大きく分けて3つの段階に分かれています。

まず最初に、汚水は「沈殿槽」と呼ばれる槽に流れ込みます。ここでは、トイレットペーパーや排泄物など比較的大きなゴミと、砂や泥などの沈みやすい汚れを重さによって沈殿させます。この段階である程度の汚れが取り除かれます。

次に、沈殿槽で重いゴミが取り除かれた汚水は、「処理槽」へと送られます。処理槽では、たくさんの微生物が活動しており、沈殿槽で除去できなかった汚れを分解してくれます。微生物は、汚れを栄養分として分解し、水と二酸化炭素に変える働きがあります。

最後に、処理槽を通過した水は、「消毒槽」に送られます。ここでは、処理水に残っているかもしれない有害な細菌を塩素消毒によって死滅させます。消毒槽を通ることで、安心して自然に還せるきれいさの水になります。

このように、単独浄化槽は、それぞれの槽で役割が分かれており、段階的に汚水を浄化していくことで、私達の生活環境を守っています。

役割詳細
沈殿槽物理的な処理トイレットペーパー、排泄物、砂、泥などを重さによって沈殿させ、取り除く。
処理槽生物的な処理微生物の働きによって、沈殿槽で除去できなかった汚れを分解する。
消毒槽化学的な処理塩素消毒によって、処理水に残っている可能性のある有害な細菌を死滅させる。

なぜ新規設置ができないのか

なぜ新規設置ができないのか

– なぜ新規設置ができないのか単独浄化槽は、トイレからの排水だけを処理する仕組みになっています。そのため、台所やお風呂から出る排水は、浄化槽を通らずにそのまま河川に流れ出てしまいます。台所やお風呂の排水には、食器用や洗濯用の洗剤、油、食べ物の残渣など、環境を汚染する物質が多く含まれています。これらの物質が適切に処理されないまま河川に流れ込むと、水質の汚染や生態系への悪影響を引き起こす可能性があります。具体的には、洗剤に含まれる界面活性剤は、水の表面張力を低下させ、魚や水生生物の呼吸を阻害することがあります。また、油は水に溶けにくいため、水面に広がって酸素の供給を遮断し、水生生物の窒息死を引き起こすことがあります。さらに、食べ物の残渣は水中のバクテリアが分解する際に大量の酸素を消費し、水中の酸素濃度が低下することで、魚や水生生物が生存できなくなることがあります。このような環境問題への影響を考慮し、現在では環境保全の観点から、単独浄化槽の新規設置は法律で禁止されています。単独浄化槽は、すでに設置されているものについては使用が認められていますが、将来的には合併浄化槽など、より環境負荷の低い浄化槽への転換が求められます。

排水の種類含まれる汚染物質環境への影響
台所食器用洗剤、油、食べ物の残渣など– 界面活性剤による水の表面張力低下
– 油による酸素供給遮断
– バクテリアによる酸素消費
お風呂洗濯用の洗剤、石鹸カスなど– 界面活性剤による水の表面張力低下
– バクテリアによる酸素消費

単独浄化槽を使用している場合

単独浄化槽を使用している場合

一戸建て住宅でよく見られる単独浄化槽ですが、快適な暮らしを維持するためには、その適切な管理が欠かせません。

単独浄化槽は、トイレや浴室、キッチンなどから排出される生活排水を浄化処理する大切な役割を担っています。しかし、浄化槽内では微生物の働きによって浄化が行われているため、適切な維持管理を怠ると、悪臭が発生したり、浄化機能が低下するなどの問題が生じることがあります。

法律では、単独浄化槽を使用している場合、浄化槽の保守点検や清掃を定期的に実施することが義務付けられています。これは、浄化槽の機能を正常に保ち、周辺環境への悪影響を防ぐために非常に重要です。専門業者に依頼して定期的な点検や清掃を行うとともに、浄化槽内の微生物の活動を助ける専用の洗剤を使用するなど、日頃から適切な維持管理を心掛けるようにしましょう。

また、将来的には、より高度な処理能力を持つ合併浄化槽への転換を検討する必要があるかもしれません。合併浄化槽は、単独浄化槽に比べて処理能力が高く、環境への負荷も低いというメリットがあります。ただし、設置費用や維持管理費がかかる場合もあるため、専門業者に相談の上、導入を検討することをおすすめします。

浄化槽の種類メリットデメリット注意点
単独浄化槽– 悪臭発生の可能性
– 浄化機能低下の可能性
– 定期的な保守点検・清掃が必要
– 専門業者による定期点検・清掃
– 浄化槽専用洗剤の使用
合併浄化槽– 高い処理能力
– 環境負荷の低減
– 設置費用・維持管理費がかかる– 専門業者への相談

合併浄化槽への転換

合併浄化槽への転換

– 合併浄化槽への転換

合併浄化槽は、従来の単独浄化槽とは異なり、トイレからの排水だけでなく、台所、お風呂、洗濯機など家中のあらゆる排水を集めて浄化することができます。このため、水環境への負荷が大幅に軽減され、美しい河川や海の保全に大きく貢献します。

従来の単独浄化槽はトイレからの排水のみを処理するため、台所やお風呂からの排水はそのまま河川や下水道に流れ込んでいました。これらの排水には、油脂分や洗剤、有機物などが多く含まれており、河川や海の汚染の原因となっていました。

合併浄化槽に転換することで、これらの生活排水はすべて浄化槽内で微生物の働きによって分解処理されるため、水質浄化に非常に効果的です。

合併浄化槽の設置には費用がかかりますが、環境保全への貢献度が高いため、国や自治体によっては補助金制度が設けられている場合があります。転換を検討する際には、お住まいの地域の制度について、役場や市役所などに問い合わせてみましょう。

合併浄化槽への転換は、私たち自身の生活環境だけでなく、未来の世代へ美しい水環境を引き継ぐためにも重要な取り組みと言えるでしょう。

項目単独浄化槽合併浄化槽
処理対象トイレ排水のみトイレ、台所、お風呂、洗濯機など家中の排水
水環境への負荷高い (台所、お風呂の排水は未処理)低い (全ての排水を浄化処理)
水質浄化効果低い非常に高い
費用高額 (補助金制度あり)
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